WWWで情報発信しよう
ウェブページづくりは難しいものではありません。世界はあなたの「オリジナルな」情報を待っています。簡単な基本だけ身につけて、どんどん情報発信をはじめてください(NetFan誌1997年3月号の特集「魅せるホームページ作成術」のために寄稿した文章を一部手直しして再掲載します)。
ウェブページ恐怖症をなくそう
ウェブページを作るにはHTMLという難しい言語の習得が必要だ。おまけに近頃はShockWaveやらJavaを使わないと注目してもらえない...?
いや、ウェブページ(ホームページ)づくりをそんなに難しく考えないでください。HTMLといっても、10個もタグを知っていれば、十分ウェブページが書けるのです。それでも敷居が高いなら、Instant Homepageでまず雛形を作ってみてはどうでしょう。最初の一歩さえ踏み出せば、あとは意外にスムーズに進むもの。WWWの創始者ティム・バーナーズ=リー氏も言っているとおり、シンプルなものほど、より良いのです。
You can write a document as simple as you like. In many ways, the simpler the better. (Tim Berners-Lee, Style Guide for online hypertext あるいは日本語版)
無理してJavaやShockWaveやデジタル・カメラの写真で武装する必要などありません。ページを飾りたてる方法ばかり取り上げ、そのためのツールの紹介に終始している雑誌や指南本などはさっさと捨ててしまいましょう。
見かけに凝る必要はない
ウェブページはHTML(HyperText Markup Language)を使って記述しますが、これをレイアウトのための道具だと考えてしまうと、思ったような表現ができずに苛々することになります。
しかし、それは仕方のないことです。もともとこれは、文書の「構造」、つまりどんな流れで話が進み、どの部分が関連情報かを記述するためにつくられたもの。そして「ハイパーテキスト」の名前のとおり、印刷物では不可能な、縦横無尽なリンクこそが生命なのです。 HTMLによる記述を解釈してどんな風に画面表示するかはブラウザに任されています。Netscape NavigatorとInternet Explorerで見え方が違うのは、だから当然といえば当然なのです。
「構造」の記述に大切なのは、文書のテーマが何で、内容はどのような構成になっていて、それを要約すると(つまり見出し)どうなるかということ。これらを明示的に示すために使われるのが
<title>
要素であり、
<h1>
〜
<h6>
の見出し要素です。項目を列挙するときはリスト要素の
<ul>
<ol>
<dl>
などを使います。そしてハイパーリンクには、アンカー(錨)を表す
<a>
が用意されています。これくらいのタグさえ理解していれば、十分ウェブページを作ることができるのです。
フォントの種類や大きさ、特殊タグの働きは、利用者の機種やブラウザの設定によっても違い、一所懸命デザインしても意図どおりに表現されるとは限らないので、凝り過ぎても仕方ありません。そもそも、画像を表示しないブラウザだってあるのですから、いわんやShockWaveやJavaをや、です。 新機能はどんどん登場してきますが、まず基本タグをきちんと理解し、内容を分かりやすく明確に表現することが大切です。
- HTMLについてはごく簡単なHTMLの説明を参照して下さい。
- 手元の作品をHTML化する方法については簡単につくる電子テキストで解説しています。
主題選びが大切だ
「ウェブページったって、別に書くことないしなぁ」と思ってるあなた。そんなに遠慮することはない。「俺の情報は俺だけのもの、他人になんか教えたくない」なんて言わないで。みんなが自分の情報を提供すれば、世界規模の壮大な仮想図書館ができるのだから。
主題選びが難しく感じられるのは、どんな情報なら発信する価値があるのか判断しにくいということが原因のひとつでしょう。発信したいテーマはあるけれど、情報が不完全だったり、あるいは誰が読んでくれるか確信が持てないというようなことですね。
しかし、心配には及びません。WWWの醍醐味は、個々の情報は小さくとも、リンクやサーチエンジンの力によって全体では史上最強の百科事典として機能するというところにあるのです。断片的でも構いませんから、自信を持って関心事をWEBページに書き込んでみましょう。本を一冊書きあげるのではなく、そのうちの一項目だけでよいとなれば、主題も選びやすいのではないでしょうか。
断片すら思いつかないというときは、読みかけの本のテーマでも、昼休みの話題でも構いません、頭に浮かんだ言葉をいくつか書き出しておきます。そしてそれらを検索エンジンで調べてみるのです。興味を惹くような情報は見つかったでしょうか? ピンと来る結果がなければ、あなたが情報を提供する番です。手持ちの材料が不完全だって気にしないこと。「この本にかくかくの視点が書かれている」という紹介だけでも十分。 あなたのその発信によって、インターネット上の情報がひとつ充実することになるのです。
〔補足〕情報が未完成の場合はそれが今どんな状態にあるかを明記することを忘れないでください。
予想外に情報がたくさん得られたなら、そのリソースリストを作ってみましょう。リンク集も、たんなる有名サイトの列挙ではなく、テーマに沿って分類整理されたものは立派な「編集」情報です。集めた材料をまとめあげるところで躓くのであれば、Q&Aスタイルで羅列しておくという方法もあります。むしろこういう素朴な情報の方が、実際は役に立ったりするものです。
インターネットの何千万という利用者の、きっと誰かはあなたの情報を歓迎してくれます。そして、最初は断片的であっても、それらが蓄積されると、あなたの個性を示す魅力的な主題が形作られていくに違いありません。
主題選びの5つのポイント
- 関心を持っている潜在テーマを紙に書き出して形にする。
- テーマに沿ってインターネットを探索してみる。
- 調べた情報を分類整理し、自分なりに編集してみる。
- 完璧を目指さない。断片情報も十分価値がある。
- 無理に「主題」としてまとめずQ&A方式で列挙してもよい。
あなたのサイトを告知しよう
最後に、せっかくの情報は、その存在を他の人に知ってもらわなければ生かすことができません。情報を発信したら、ぜひそのページを広く告知してください。
では、あなたの情報にインターネットで出会えることを楽しみにお待ちしています
(初出:NetFan 1997/3号)