W3Cが10周年ということもあってか、専門誌以外でもセマンティック・ウェブ関連の記事をときどき見かける。Business Weekの10月22日号には、The Web's Father Expects a Grandchildというティム・バーナーズ=リーのインタビューが掲載されていた。特に目新しい内容ではないが、イノベーションのための環境としてウェブを捉えるというのは、この雑誌らしい。
バーナーズ=リーがセマンティック・ウェブをどんなものとして考えているかというのは、記事中の次の発言によく表れている。
What's exciting about the Semantic Web is its potential for serendipity, the unplanned reuse of data. The effect will be even more powerful for the Semantic Web because you won't have to be a person following the links. A machine will be able to follow links.
データがアプリケーションの壁を越えて連繋することで、思わぬ関連性が見出されて、これまでなら探せなかった情報にアクセスでき、元のアプリケーションが考えても見なかった形でデータが再利用できるということ。だから、特定の目的のために、特定のアプリケーションだけが利用できればいいという情報の設計は、あまり面白くないんだな。
繋がるということで言えば、ちょっと意味合いは違うものの、MIT Technology Review October 2004のインタビューに載っていた、次の一節も重要。
One of the fundamental properties of the Web is the fact that it is just one space, and it's a consensual space. ...At W3C we call this concept "one Web -- for anyone, everywhere, on anything."
これはセマンティック・ウェブというよりはユニバーサル・アクセスの話をしているわけだが、アプリケーションごとの世界に閉じこもらず、ウェブ全体で使えるデータというのは、"one Web"と通底するのではないかと思ったりしている。