先日のFMで、ハーゲン四重奏団のリサイタルを放送していた(2003-02-28@王子ホール)。プログラムはショスタコーヴィチの弦楽四重奏8番をメインに、バルトークの4番を中プロに持って来るというもの。

もちろんレベルの高い内容で、さすがはハーゲンという演奏だったが、前プロに置かれたバッハのフーガの技法(最初の4つのフーガ)には少々驚いた。これはクイケンかモザイクかと思うほど、古楽スタイルの奏法に徹していたのだ。ビブラートは全くと言っていいほど用いず、開放弦も積極的に使っている感じ。実に静謐な、凛としたバッハが鳴り響いていた。

ハーゲンはもともと余計なビブラートは使わない演奏スタイルではあるものの、この徹底ぶりは今までにはなかったんじゃないか。2001年12月録音の、「バッハ平均律クラヴィーア曲集第2巻から5つの4声フーガ」(モーツァルト編曲弦楽四重奏版)を聴いてみたが、こちらはクールというよりは表情豊かな、ビブラートも適宜使う演奏だ。ベートーベンあたりの四重奏でも、基本的な姿勢は同じ。

この日の演奏会では、バルトークやショスタコでも随所にノン・ビブラートを生かしている箇所があった(もちろん、使うところではしっかり使っていた)。これは、もともとのスタイルなのかも知れないのだが、フーガの技法を聴いた後では、もしかすると何かの変化なのかとも思いたくなる。考え過ぎかな?

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